歌への想い

私は反回神経麻痺のまま歌手をしています。

 

バセド病の手術の際に声帯を動かす神経を切断してしまい、反回神経麻痺。一生筆談の生活を宣告されました。

 

2年間筆談の生活を体験しました。

反回神経麻痺の私は食事の時は10回飲み込めば7回は誤嚥(/ _ ; )(器官に入り、食べたものを吐き出すほどませていました)

甲状腺を全摘した私は橋本病となり、ホルモンバランスも崩れ、食べなくても太るという症状で10キロ体重も増え、うつ病に。喜怒哀楽も失いました。

 

でも、母がこう言ったんです。

「無意味な出来事は何1つない。お前なら乗り越えられるはず!気付いて前に進んで欲しい!って神様が成長を願って与えてくれたプレゼントなんじゃないかな!」って。

 

何も味わってない人に何がわかる!と反抗してましたが、どうせ過ごす時間なら笑って過ごしたい。元々は社交的な性格だった私は何に気付けるのか探してみました。

 

声のない生活は予想以上に苦しかった。

・少し離れたところにいる人を呼び止められない。

・友達と会っても会話に入れない

・歌が歌えない

何か想いが生まれても伝える事を諦める毎日でした。

そんな中でも一番苦しかったのは、「ありがとう」が言えないことでした。

 

声が出ていた時は気づきませんでしたが、「ありがとう」を言いたい時ってこんなにあった!「ありがとう」って口にすることで、自分も元気になれてた!

 

これに気付いた私は、取り返しのつかない後悔の念に襲われました。

 

どうして不平不満ばかり口にしてたんだろう。。。

 

例えば。毎日ご飯を作ってくれたお母さんに、「毎日作ってくれてありがとう」は言わなかったけど、「今日のご飯失敗じゃない?ハズレやぁー!」なんて。

 

いつでもありがとうって言える!と思ってた。。。

 

声を失ったおかげで、気づかせてもらいました!

 

当たり前のことなんて何1つない!!

 

当たり前だと思えることこそが奇跡的に与えてもらっていることで、1番の幸せなものなんだ!という事を。

 

お前は感謝が足りない!って病気で教えてくれてたんですね、神様が。

気付けてからは生活が一変しました。

朝起きて目が覚めて幸せ♬

耳が聞こえて幸せ♬

美味しそうな朝ごはんの匂いに幸せ♬

歩けること、笑顔を作れる顔、飲み込めること。

今まで感謝したこともなかったことがとても幸せに思えるようになりました。

 

そして私が頑張れたのはもう一つ。家族からの想いを受け取ることができたからです。

 

大好きな人が辛い目に遭っているのを見守ることはとてもとても辛いことだと思います。

頑張っている相手に頑張れ!を言うのも可愛そう。でも手出しすることはできない。

 

代わってやりたくても代わってやらないもどかしさ。誰よりも応援して願う気持ち。私なんかよりも涙を流して願っていたと思います。

 

自分を褒めてやるとしたら、その願いを想像し受け取ろうと努力できたことです。

 

私は1人では生きていけない。自分以上に自分の成長を願い信じ、見守る想いが存在する。それは目に見えないし、自分から受け取ろうとしないと消えてしまう。

 

私はこれを今の子供達に感じて欲しい。

受け取る心。感じるアンテナ。そして想像力。

思い通りになった時幸せ!ではなく、思い通りにならない時も幸せ!に変えられる心を育てれば、幸せはどんどん湧いてくる!!

 

1日一回!病気に、「気付かせてくれてありがとう。」って唱える事にしました。医学的な治療は一切せずに。

2年の時を経て奇跡的に声が出るようになってきたんです。沢山の想いに応援されるかのように。

言いたくても叶わない、沢山の想いと一緒に歌い続けます。

どんなきっかけで気づけるのかは人それぞれだけど、私もその一つになれればと、伝え続けます。

どうか役立てる場所が増えますように。。。